日本経済のプレゼンスと出願件数
リーマンショック以降,日本の特許出願の件数は,約1割,減少しています。
現在選挙期間中の弁理士会長選挙でも,この件が話題になっているようです。
確かに,同じ経済状況の下で,企業の出願意欲が増える様な施策を打つことは必要です。
しかし,出願件数が増えたから景気が良くなるわけではありません。
他の国・地域と比較して,日本が製造拠点又は消費地として魅力的であり,権利行使に実効性があると評価されると,日本での出願件数が増えるのです。
それに加え,企業の利益は,知的財産権によって生まれるとは限りません。価格で勝負する企業も,商品サイクルの早さで勝負する企業もあります。権利は,企業活動のためのツールの一つにすぎません。
弁理士会の選挙運動をうかがうと,濃淡の差はあれ,出願件数の増大→景気の好転,権利の活用→業績の上昇という論調が目に付きます。しかし,このような議論では,因果関係が逆さまになっています。
といってしまうと身も蓋もないので,先生方は,業界としてのご主張をされているのだろうと思います。