付与後レビューという名の付与後異議の復活

 産構審知財政策部会特許制度小委員会は、本年の8月より、付与後の特許の見直し制度の議論を始めましたが、もうパブリックコメントの募集にこぎ着けました。

(当初の議論について、http://d.hatena.ne.jp/oneflewover/20121019/1350656567)

 「強く安定した権利の早期設定の実現に向けて」というタイトルでは何のことか良く解りませんが、「付与後レビュー」と呼ばれる制度の創設が打ち出されています(C−2案)。その内容は、「従前の異議申立制度の問題を改善しつつ」とうたわれていることからわかるとおり、概略、付与後異議の復活です。もっとも、申立人は特許権者の訂正について意見を述べることができるという点で、従来とは異なっています。
 付与後異議を廃止した平成15年改正から、まだ10年も経過していません。その点については、「この10年間の特許制度を取り巻く環境の急激な変化、特に、わが国における審査の劇的な早期化により、・・・柔軟性を持って果断に取り組むべき」という理由が述べられています。

 ユーザとしては、付与後レビューに望む事項として、2点が挙げられます。
 まず、合議体が職権での取消理由を積極的に通知することです。この制度の下では、複数の申立人から様々な先行文献が提出されることが予想されます。従前の制度では、「特許無効化資料の抱え込み」が問題であると指摘されているのですから、各申立人の主張した取消事由のみを判断するのではなく、集まった先行文献を適切に組み合わせて取消理由が構築していただきたいものです。
 次は、特許権者と合議体の間でコミュニケーションを取らないことです。申立人を排除して特許権者と合議体との間でのみ訂正クレームの適否が議論されることは、公平性を欠くと思います。