特許庁の産業財産権制度問題調査研究報告書(延長登録、知財研への委託)

平成26年度の特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書が、特許庁のウェブサイトに公開されています。その中には、存続期間の延長登録に関するものも含まれています。

 この報告書は、各国の制度の比較及びユーザのアンケート結果などが含まれているため、今後の制度の提言という点で、大変興味深いものではあります。しかし、疑問も感じざるを得ません。
 この調査研究の直接の実施主体は、知財研です。そして、その目的として、日本の現状の整理、外国での同様の制度の調査・分析、そして、今後の制度改正や運用改善の基礎資料を提供することが挙げられています。
しかし、特許庁は、大合議の被告であり、現在、自ら上告受理申立てをしています(ただし、報告書は、「現在、上告受理の申し立てがなされている」との表現を用いています。)。
 しかも、この報告書での「有識者」会合の座長は、特許庁OBの先生であり、オブザーバとして、特許庁の方が多数参加されています。そして、「まとめ」では、現在の審査基準の採用する「発明特定事項に該当する事項」を擁護するとともに、当該事件の判決に対する批判が並んでいます。最後には、「最高裁においてはこのような観点から判断がなされることが期待される」と述べています。
 ユーザのヒアリングそのものは大変有意義であるとしても、紛争の一方当事者が、税金を使って、係属中の事件に関し自らの立場に沿った意見を盛り込んで報告書を作成するとしたら、その手法には疑問を感じます。