保証人の主債務者に対する求償権に消滅時効の中断事由がある場合、共同保証人間の求償権に中断の効力は及ぶのか

主たる債務が、時効によって消滅する場合、保証債務も消滅します(民448条;保証債務の附従性)。それでは、共同保証人の一人が主債務者に対して求償権を有する場合、その求償権と、共同保証人間の求償権(民465条)との間には、附従性が生じるのでしょうか。
 例えば、共同保証人a1とa2とがおり、a1が、主債務者に代わって債権者に代位弁済しし、主債務者に対し求償権を取得し、a2に対し共同保証人間の求償権を取得する場合、主債務者に対する求償権を行使して時効を中断させると、その効果がa2にも及ぶのでしょうか。

 条文では、附従性が規定されているわけではありません。解釈としては、民457条1項(「主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の中断は、保証人に対しても、その効力を生ずる」)を共同保証人の主債務者に対する求償権に類推適用するという構成もあり得ます。実質的な根拠としては、共同保証人間の求償の目的は、保証人間の負担の公平性を確保し、その範囲において主たる債務者への求償権を確保することにあるのだから、主たる債務者への求償権について時効中断措置を採れば足りると考えることもできます。

 しかし、最判平成27年11月19日は、保証人の主債務者に対する求償権に消滅時効の中断事由がある場合でも、共同保証人間の求償権には中断の効力は及ばないと判断しました。
 その理由として、上記判決は、
民法465条に規定する共同保証人間の求償権は、主たる債務者の資力が不十分な場合に、弁済をした保証人のみが損失を負担しなければならないとすると共同保証人間の公平に反することから、共同保証人間の負担を最終的に調整するためのものであり、保証人が主たる債務者に対して取得した求償権を担保するためのものではないと解される」
と述べています。
 つまり、共同保証人間の求償権の性質は、主たる債務者に対する求償権の担保ではない、両者の関係は、主債務と保証債務との関係とは異なる、との解釈が示されています。この解釈は、原審とほぼ同様です。
 民457条1項の類推適用は、やや無理のある構成であるように思います。もっとも、共同保証人間の求償権とは別に、代位弁済した共同保証人が、他の共同保証人に対し、原債権に付随する保証債権を行使する場合も理論的には生じます。ただし、原債権も時効により消滅している可能性が大です。