2016-01-01から1年間の記事一覧

延長された特許権の効力と実質同一物

東京地判平成28年3月30日は、延長された特許権の侵害が争われた最初の事案といわれています。 延長された特許権の効力について、特許法68条2のは、以下のとおりです。「特許権の存続期間が延長された場合(第六十七条の二第五項の規定により延長され…

応用美術(工業デザイン)の著作物性

TRIP TRAP事件の控訴審判決以降、応用美術がどのような場合に著作物に該当するのかという点に関し、様々な見解が現れています。この問題の実質的な論点は、3次元の工業的デザイン(例えば、スポーツカー、バイク、飛行機など)を専ら意匠法で保護するのか、…

プロダクト・バイ・プロセス(PBP)クレームの明確性要件と相対的な明確性、唯一の証拠方法

最判平成27年6月5日は、いわゆるプロダクト・バイ・プロセス(PBP)クレームについて、技術的範囲及び要旨認定ともに、物同一説を採用しました。 もっとも、PBPクレームの場合、原則として、クレームが明確性要件に適合しないと判断しました。その理由は…

保証人の主債務者に対する求償権に消滅時効の中断事由がある場合、共同保証人間の求償権に中断の効力は及ぶのか

主たる債務が、時効によって消滅する場合、保証債務も消滅します(民448条;保証債務の附従性)。それでは、共同保証人の一人が主債務者に対して求償権を有する場合、その求償権と、共同保証人間の求償権(民465条)との間には、附従性が生じるのでしょうか…

食品の用途発明

産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員会審査基準専門委員会WGでの議論の結果、食品の用途発明の審査・審判にあたり、用途を限定したクレーム解釈が採用される見込みです。 一般論として、用途発明は、(発明者が)ある物の未知の属性を発見し、この属…