2011-01-01から1年間の記事一覧

虚偽事実の告知

中小部品メーカーX社は、大手メーカーA社に部品xを納入したいと考えていたところ、実際には、コンペティターY社が、A社に対し、部品xと競合する部品yを納入していたとします。X社は、特許を保有しており、Y社の部品yがその特許発明の技術的範囲に…

知的財産法で保護されない利益と不法行為法による救済

不競法2条1項3号は、他人の商品形態を模倣した商品の譲渡等を不正競争として規定しており、いわゆるデッドコピーを禁止した条項と理解されています。もっとも、不競法2条1項3号には、適用除外があります(同19条1項5号)。日本国において最初に販…

容易の容易

正式な用語ではありませんが、進歩性に関し、「容易の容易(は、容易想到ではない)」という表現が用いられることがあります。具体的な事案は、以下のとおりです。 主引用発明Aと副引用発明Bとを組み合わせ、それによって生まれる(A+B)の発明に更なる…

プロダクト・バイ・プロセス

物の発明を特定するためには、通常、物の構造及び特性を用います。しかし、しばしば、特に化学の分野で、製造方法的な記載により物の発明を特定することがあります。その例は、「製造方法Xで製造された製品Y」というクレームです。このタイプのクレームは…

共有特許権者による損害賠償請求と特許法102条

特許権がAとBとによって半分ずつ共有され、Aは特許発明を実施し、Bは実施していないということは、しばしば起こります。そして、第三者がその特許権を侵害したとします。 共有者は、特許権を単独で保有する場合と同様、特許発明を自由に実施できます。そ…

要旨認定と技術的範囲の解釈

日本の特許法では、侵害の場面での権利範囲の解釈(特許法70条の技術的範囲の解釈)にあたっては、必ず(クレームの文言が明確であろうとなかろうと)明細書の記載が考慮されます(例えば、知財高判H17.12.28)。そのため、クレームの文言だけを見ると権利範…