2010-01-01から1年間の記事一覧

日本経済のプレゼンスと出願件数

リーマンショック以降,日本の特許出願の件数は,約1割,減少しています。 現在選挙期間中の弁理士会長選挙でも,この件が話題になっているようです。 確かに,同じ経済状況の下で,企業の出願意欲が増える様な施策を打つことは必要です。 しかし,出願件数…

外国会社がウェブサイトで製品の宣伝をしている場合、日本の特許権者は日本の裁判所に訴えを提起できるのか

外国の会社が、ウェブサイトで製品の宣伝をしているとします。日本の(潜在的な)顧客は、そのウェブサイトを閲覧し、購入を申し込むことができます。その製品が、日本の特許権の技術的範囲に属する場合、特許権者は、どの国の裁判所に訴えを提起したらよい…

形態模倣の起算点

不正競争防止法2条1項3号は、他人の商品の形態を模倣した商品の販売などを不正競争と定義しています。まるめてしまうと、その趣旨は、オリジナル商品のデットコピー品の販売を禁止するという点にあります。もっとも、禁止期間は、日本国内において最初に…

 販売と特許権侵害との関係は?

日本に在住の日本人同士が、アメリカに置いている製品について、日本法を準拠法として売買契約を締結したとします。この売買は、特許法上の「譲渡」に該当するのでしょうか。確かに、日本人同士の取引ですが、日本のマーケットは全く害されていません。 まし…

用途発明(2)

用途発明(http://d.hatena.ne.jp/oneflewover/20100927/1285600164)の続きです。 化合物の用途発明のように,物の構造から用途が明らかとはいえない場合に,どの段階で出願を可とするのかは,価値判断によります。用途について確証を得なければ出願を認め…

実施可能要件とサポート要件

日本では、明細書のうち発明の詳細な記載は、当業者が実施できる程度であることが求められ(36条4項1号;実施可能要件)、クレームの記載については、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されたものであることが求められます(36条6項…

外国ライセンサーの倒産

最近では、企業が様々な国で事業を行い、外国に資産や取引先を持つことも珍しくありません。そのような企業が倒産した場合、資産や取引先との契約関係は、どのように処理されるのでしょうか。 外国で倒産手続きが進み,その手続きを国内に適用するという場面…

不法行為

民法の勉強を始めたころ、不法行為は、謎の分野でした(いまでもそうですが)。 何せ、契約と比較すると、条文の数が少ない。民法709−724条で全ての事案に対処できるのか、疑問がわく。その中でも、709条の比重が大きい。この条文は、あまりに抽象…

用途発明

化学の分野では、用途発明というジャンルがあります。具体的には、公知の物質について、新しい用途を見出したという場合です。公知物質を特定の病気の治療用途に用いるという発明が、その典型例です。 このような発明に特許を付与するにあたって、どのような…

 「結婚したようなもの」

沢神奈川県知事の「破天荒力 箱根に命を吹き込んだ『奇妙人』たち」について、知財高裁で、著作権を侵害しないとの逆転判決が出ています。 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100716152954.pdf 問題になったのは、「彼は、富士屋ホテルと結婚したような…

フェアユース

7月22日付けで、「権利制限の一般規定に関する中間まとめ」に対する意見募集(まるめると、フェアユースのパブコメ)の結果が公表されています。 http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000465&Mode=2 職業的な権利者団体…

法律の勉強を初めて驚いたことといえば, ・教科書は日本人が書いたものばかり。 ・論文も日本語のものばかり。 ・レフェリー付きの学術雑誌がない。 といったことでした。 日本の法律の研究者は,ほとんど日本にしかいないので,上記のことは,よく考えれば…