弁護士の就職難

 昨日(2012年6月4日)の日本経済新聞の法務欄に、「弁護士の就職 開拓の余地」と題する記事が載っています。見出しには「企業や役所、法曹ニーズは拡大」、「人材のミスマッチ課題」などという言葉が並んでいます。

 この記事は、すでに法科大学院入学というルビコン河を渡ってしまった方にとっては、有益なのかもしれません。しかし、大学に在籍中で将来の進路として法科大学院も1つの選択肢であるという方にとっては、意味があるとは思えません。
 法科大学院に進むと、
・既修者でも、大学院と司法修習との合計で3年以上、人生で働く期間が減ってしまう。
・司法試験に失敗するおそれがある。失敗する回数が増えるほど、就職が難しくなり、3回失敗すると、受験資格を失う。
という問題があります。
 その一方、順調に資格を取っても、
・就職先は、新卒の場合よりも狭まってしまう。資格を取ったからといって、新卒時では採用されなかった会社に採用されるようになる、というわけではない。
・待遇は、資格を取っても変わらない。
という可能性が大です。
 このような状況下では、合理的な人であれば、法科大学院に進むという選択肢を消すでしょう。
 もちろん、打算なしで社会的な使命感から法曹を目指す方は多数いらっしゃいますが、そのような方は、会社に就職するという進路は対象外でしょう。

 この記事は、大学生にとって進路の選択肢があること、その間で競争原理が働くことを無視しています。結局、法曹志望者の数が減り、レベルも下がることが容易に予想されるのですが。