新司法試験の選択科目

 法曹養成制度改革顧問会議で、新司法試験の選択科目を廃止するか否かが議題に上っています。
 それに対し、各科目に関連する団体及び実務家からは、当該科目の重要性を理由の一つとして、反対の意見が出ています。もっとも、今回の議論の争点は、選択科目のリストから一部を削るというものではなく、選択科目そのものを廃止してよいかという点にあります。したがって、その科目が実務的に重要であるというだけでは、顧問会議の議論とは噛み合わないおそれがあります。

 未修者にとって、選択科目は、既修者と対等の立場で戦えるため、有利であるという説もあります。しかし、選択科目に時間を費やすと、必修科目での差が埋まらないことになってしまいます。理系未修なら知財選択が有利という説もありますが、最近の問題からすると、学部が理系であったことはあまり影響しないように思います。
 選択科目まで勉強できることが望ましいことは、疑いのないところです。その一方、現在の法曹養成及び試験制度が順調ではないことは、顧問会議も認めるところです。したがって、制度全体の設計として、選択科目の勉強まで求めることが良いのか否かということが問題であって、個別の選択科目が重要か否かということは(重要であることは当然です。)、論点がかみ合っていないように思います。