再生医療等製品の延長登録

 産業構造審議会特許制度小委員会の「特許権の存続期間の延長制度検討WG」では、「再生医療等製品」による延長に関し、今月から、議論が始まっています。
 この議論は、昨年の薬事法改正により、「再生医療等製品」というカテゴリーが新設され(2条9項;改正前には、医薬品か医療機器の何れかに分類するしかありませんでした。)、その製造販売の承認についても、23条の25及び23条の26が新設されたことを契機としています。

 現在の延長登録制度では、対象となる処分は、67条2項のいわゆる政令指定処分
(「その特許発明の実施について安全性の確保等を目的とする法律の規定による許可その他の処分であつて当該処分の目的、手続等からみて当該処分を的確に行うには相当の期間を要するものとして政令で定めるもの」)
です。現在、施行令3条により、政令指定処分が具体的に規定されています。3条1号が農薬取締法、2号が薬事法です。

 薬事法については、
・14条1項の承認(新たな医薬品の承認)、14条9項の承認(一部変更承認(いわゆる一変))、
・19条の2第1項の承認(外国製造医薬品等の承認)、
・23条の2第1項の体外診断用医薬品に係る認証及び4項の認証(一部変更の認証)
のみが規定されています。
 したがって、薬事法の改正に伴って政令指定処分を拡張するためには、施行令3条2号の改正が必要です。今回のWGの目的は、この点にあります。

 再生医療等製品での問題の1つは、承認が2段階に分かれ得る点です。第1段階として、条件及び期限付き承認が下されることがあります(23条の26)。要件は、
・申請に係る再生医療等製品が均質でないこと
・申請に係る効能、効果又は性能を有すると推定されるものであること
・申請に係る効能、効果又は性能に比して著しく有害な作用を有することにより再生医療等製品として使用価値がないと推定されるものでないこと
です。
 つまり、有用であり、著しく有害ではないと推定されるものの、製品にばらつきがある製品については(再生医療の分野では、当然起こり得ることです。)、条件付きで承認が与えられます。その後、再度の申請により、本格的な承認(23条の27)に移行します。
 そこで、何れの承認を起算点にするのかという点が問題となるわけです。