知財高裁設立10年に関する記事

日経の月曜の朝刊に、知財高裁設立10周年に当たっての記事が出ています。
 その中で、元特許庁長官が、アップル・サムスンの大合議判決の損害賠償額が低すぎる、米国の連邦地裁では、同じ当事者間の訴訟で桁違いの賠償額が認められているとコメントしています。しかし、異なる特許権について、しかも異なる論点の訴訟について、損害額を比較することには意味がありません。日本の大合議判決は、FRAND宣言のされたSEPの特許について、権利行使が許されるのか、損害賠償額はいくらなのか、という論点の訴訟に関するものですので、同様の論点の(同じ当事者間の、ではありません)訴訟と比較するべきです。

 編集委員氏は、技術を巡る議論はアニメや動画を使えば文系でも理解しやすいと述べておられます。しかし、科学技術の素養がなくても、数式が理解できなくても、マンガ化すれば最先端の技術でも理解できると考えておられるのであれば、見当違いです。実際には、さらに、技術説明会では、スライドで実施品や侵害品の画像は登場します。