職務発明と成果主義

 現在、産構審知財分科会特許制度小委員会において、職務発明制度の法改正が議論されています。その関連で、従業員が自らの成果について対価を得ることを意識する結果、R&Dの組織としてのチームワークが損なわれているのではないかという指摘もあります。
 そのような側面もあるのでしょう。しかし、類似の傾向は、成果主義が盛んに強調されるようになったころから、研究開発にとどまらず、様々なセクションで顕在化してきた問題です。とりわけ、組織としての目標と個人の評価対象とがうまくリンクしていない場合には、個人にとっての評価の最大化と組織の目標達成とが一致しないという一種の合成の誤謬がおきかねません。個人にとって、自らの評価を最適化しようという努力は、合理的なものであり、批難するわけにはいきません。法改正だけによるのではなく、人事評価の難しい問題があるように思います。